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ディジーズマネジメントが
医療を変える
疾病管理が切り拓く新しい医療

「ディジーズマネジメントが医療を変える」について

「ディジーズマネジメントが医療を変える 疾病管理が切り拓く新しい医療」について

■ 「ディジーズマネジメントが医療を変える」

〜疾病管理が切り拓く新しい医療〜のご紹介

「ディジーズマネジメントが医療を変える」 疾病管理が切り拓く新しい医療

編集:高原亮治

2011年11月05日発売
定価:本体価格952円+消費税

「ディジーズマネジメントが医療を変える」 疾病管理が切り拓く新しい医療
序文にかえてから
本冊子の出版は著しく遅延した。『疾病管理ハンドブック』が「ディジーズマネージャーになるために」の副題とともに、同人社から刊行されたのが2007 年10 月。本冊子は、そのお披露目を兼ねて、本格実施を目前にした「特定保健指導」の内実としてディジーズマネジメントが日本に定着することを期待し、いわば、その翻訳出版の趣旨を明らかにするために行われた議論座談会の記録である。遅延したのは、ひとえに私、高原の責任である。その理由は、さまざまな経過で、特定健診と特定保健指導が、少なくとも私個人の主張と大きく異なったことが一つであり、他はいつもながらの私の作業にとりかかることの遅さ、怠慢が原因である。その結果、座談会にご出席いただいた、聖路加国際病院院長福井次矢先生、全国社会保険協会連合会理事長伊藤雅治氏(元厚生労働省医政局長)、広島大学大学院保健学研究科森山美知子教授にはお詫びしきれないほどのご迷惑をおかけした。誠に申し訳なく思っている次第である。
しかしながら、近時社会保障改革が議論されているところでもあり、ディジーズマネジメントはやはり社会保障改革、医療改革の有力なトゥールになるのではないか、という思いも強くなった。近年の社会保障改革でも語られることは、限りある資源と拡大する(高齢化と高技術による)需要の増加である。しかしながら、語られることは、在院日数の短縮という、いまや忘れ去られつつある「国民医療総合対策本部」(昭和62 年)以来の提言や医療機関の機能分化である。事実、総合対策本部発足以来二十余年、確かに在院日数は減少しつつあるが、平成も23 年を過ぎる今日、まだ「国際的にみて非常識」な在院日数は尾を引いているのである。さまざまな言説があふれた。例えば、わが国の住宅事情の悪さ、介護の不足など。しかしながら米国の田舎はともかく、欧州の住宅事情や介護、訪問看護体制と比べても、日本の医療・介護の現状は「誇るべき水準」とはいわないまでも「著しく劣っている」とまではいえないであろう。また、さらに、「医療崩壊」なる言説が流布し、東京近県の公立病院すら医師不足で閉鎖という報道がみられるようになった。対策として、医学部の定員は拡充されている。医学部の入学希望者は少子化の中でも増加し、いわゆる偏差値は高止まりしている。一時ささやかれた医学部の裏口入学の話題も聞かれなくなった。
こういった現状の背景となっている事態は、さまざまなツールにより進められた入院日数短縮によって、1 日あたりのワークロードが救急・内科・外科・産科の「立ち去り型サボタージュ」を生み出した。さらに専門医を養成する「指導医」に「学位取得」を義務づける学会の出現など、笑うべき珍現象をもたらした。それはマクロの「充足している医師数」とミクロの「医師が足りない現場」を解決するためには、医療人材の「選択と集中」が必要というべきである。そのためには、保健師、看護師、栄養士、運動指導士などチームによる「疾病管理」が代替案になり得ると考えた。そこで、改めて座談会の意義を見出し、あえて大渡社長にお願いして刊行して いただいた。
(高原亮治)