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実地医家のための
高齢者診療ガイド

「実地医家のための高齢者診療ガイド」について

「実地医家のための高齢者診療ガイド」について

■ 「実地医家のための高齢者診療ガイド」のご紹介

実地医家のための高齢者診療ガイド

編著:大内 尉義(東京大学加齢医学講座教授)
企画:財団法人長寿科学振興財団
監修:社団法人日本医師会/社団法人日本老年医学会/
国立長寿医療センター
11月15日発売
定価:本体価格2500円+消費税

実地医家のための高齢者診療ガイドのご紹介

WHO のデータでは、ここ40 年弱、先進国(米、英、仏、蘭など)において、65 歳の人の平均寿命は15 年から20 年に延長し、障害を持たずにいられる期間は8 年 から12 年に延長しています。
すなわち、障害を持たずにいられる期間の分だけ寿命が延びた訳です。しかしなが ら、障害を持って生きる期間は残念ながら短縮していません。老年病の一次予防、二 次予防の更なる発展が不可欠です。一方、この障害を持って生きる期間はそう簡単に 短縮しないでしょう。少なくとも21 世紀前半には障害を持つ高齢者が著増します。 障害高齢者が若者と同じように扱われ、正当な機能評価を受け、できるだけ社会復帰 をするよう助ける学問が是非必要です。高齢者医療の果たすべき役割は今こそ重要で す。
平成20 年4 月から、後期高齢者医療制度(長寿医療制度)が始まります。この 中で、複数医療機関にかかっている患者さんの、お薬の一元管理や、検査治療の一元 的年次計画の策定などに、診療報酬があらたに設けられることになります。 患者さんを最も頻繁に診察し、病状を最もよく知る医師がこの任に当たることにな るのは当然で、その呼称や資格の認定とは別個に、新しい業務に必要な知識やノウハ ウを整備して、新しい制度にふさわしい医療を提供する義務が課せられているといっ ても過言ではありません。
後期高齢者医療(長寿医療)の改革のなかで、急性期病院においても退院時ケアカ ンファランスの実施が考えられています(P.134「退院支援からケアプランへ」参照)。 急性期においても、退院時に基本的なADL や認知的な機能や意欲などを調べて、そ れらを病気と一体となったケアカンファランスを行って地域につなげていくことが主 旨です。
病院における退院時ケアカンファランスは、地域ですぐに使用できる情報が十分盛 られていないと、利用が難しいのです。そこでこのような退院時ケアカンファランス においては、十分ご家族にも分かるような言葉で換骨奪胎した情報を用いこれを共通 として、介護看護にあたるご家族を中心とした情報のネットワークにしていくべきで す。病気診断から生活場面の指導では、単にお医者さんが診断書を書いただけでは非 常に不十分です。例えば、うっ血性心不全でNYHA3 度の重症度で、ちょっとトイ レに行っただけで息が切れるという表現があれば、その方が実際、家に帰った時に2 階に上れるのか、トイレは大丈夫か、お風呂はシャワーで良いのか、お風呂に入って良いのかといったことの判断につながります。うっ血性心不全という病気の日常生活 における許容範囲といったものを、細かくご家族にも分かるようにすることによって、 その情報はより容易に介護福祉士や看護師と共有できます。
本書は、高齢者の医療を行ううえでの3 大要点を踏まえ、医療機関の性質や立場 を越えて共通の知識を共有し、真の高齢者医療福祉のネットワーク言語の必要最小限 をカバーすることを目的としています。
本書の性質上、疾患や病態の詳しいメカニズムはできるだけ簡素にし、「気づき」 を促す診療技術、検査の解釈、治療、ご家族を含む指導の要点、専門機関への紹介の タイミング、逆紹介における最も重要な経過観察ポイントなどに絞って記述すること にしました。
本書が、高齢者医療研修の参考書となり、ひろく活用されることを祈っています。
最後に、社団法人 日本医師会、社団法人 日本老年医学会、国立長寿医療センター のご協力に対し感謝申し上げます。
平成20 年3 月

財団法人長寿科学振興財団 理事長小林秀資 (序文より)


「実地医家のための高齢者診療ガイド」の書評から

*日本医師会「日医ニュース」2月20日書評に取り上げていただきました。以下に転載いたします。
本書は、ますます高齢化が進み、老人人口が増大していくことに鑑み、平成18年度に財団法人長寿科学振興財団の声かけにより設置された「老人の期待に応えられる医療のあり方検討委員会」で2年にわたり縷々議論を行い、日本を代表する高齢者医療の専門家を動員して作成した「高齢者を診察する医師のための研修カリキュラム」を、本としてまとめたものである。

高齢者医療の充実強化と適正化が求められる今、高齢者の医療、介護、生活を全人的に診る実地医家の役割は大きい。加齢医学、高齢者医療体制、介護、生活などを包括的に診断して、適切な診療、処置、福祉、介護、家族との連携につなげるための、適切で基本的な情報、ポイントを示している本書の一読をお奨めする。

定価 2,625円(税込) 発行同人社