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情報をいかす
「医薬品マーケティング」
ドラッカーの思想に学ぶ

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「情報をいかす 医薬品マーケティング ドラッカーの思想に学ぶ」について

■ 「情報をいかす 医薬品マーケティング」

〜ドラッカーの思想に学ぶ〜のご紹介

「情報をいかす 医薬品マーケティング」 ドラッカーの思想に学ぶ

著者:羽田治郎

2011年1月27日発売

定価:本体価格1500円+消費税

「情報をいかす 医薬品マーケティング」 ドラッカーの思想に学ぶ
序文から
本書の著者である羽田治郎氏は、中外製薬株式会社において支店の新薬部長、本社の医薬学術部長、診断薬事業部長などを歴任し、平成9年3月に退社されるまで、主に医薬品のマーケティング部門で活躍されてきた方である。その後、縁あって平成11年4月に当社、株式会社日本アルトマークに籍を置くこととなった。羽田氏には当社の営業部門の人間を中心に「製薬メーカーのこと」、「医薬品のこと」など何かと教育をして頂いた。また、日本アルトマークがお客様向けに発行していたハウスオーガン「アルトマークレター」の中に「マーケティングと情報」というコラムを新設し、その執筆をお願いした。当コラムは羽田氏が平成22年3月に当社を退職するまでの約10年間にわたって、シリーズで連載され、非常に好評であった。一回一回の内容が非常に製薬業界にとって示唆に富むものであったのもその理由である。
そこで、私は、このまま「アルトマークレター」だけに羽田氏の業績を残しておくことは業界の損失と考え、羽田氏の退社1年程前に「『マーケティングと情報』を集大成として、一冊の本として出版をしてみませんか」と羽田氏にもちかけてみた。羽田氏もそれを考えていたようで、丁度、当社が50周年を迎えるに当たり、その記念事業の一環として、また羽田氏自身の製薬業界におけるビジネスの集大成として本書を上梓することになった次第である。
しかしながら、“10年一昔”というように、これだけの歳月がたてば、時代にそぐわない部分も少なくなく、それらを更新したり、また本としての体裁を整えるために、出版までに約1年の歳月を要してしまった。だが、その更新に当たっては、本文の中にもある芭蕉の説き示した「不易流行」の精神をもって対応されている。
本書の副題にも「ドラッカーの思想に学ぶ」と記載しているように、羽田氏はP.F.ドラッカー(20世紀を代表する経営学者)に関する本は、ほとんど全て読破するほどのファンである。『「何はともあれ、ドラッカーの魅力はマネジメントの発明家と呼ぶにふさわしく、何十年前の著作でも新鮮さを失っていない不思議さにある。世の中の変化を読み取り「人を幸福にすること」に最大の関心を持ち、社会のあり方や、人の生き方にまで多くの至言や教訓を与えてくれたドラッカーに最大の謝意を呈したい』と述べている。
その他にも、カナダの経営学者ヘンリー・ミンツバーグ、未来学者アルビン・トフラーなど多数の経営学者の本にも目を通している。本書は、羽田氏が上記のような経営学書により理論武装したうえに、実務者として製薬メーカーでの実務経験を重ねて書かれたものであり、一般のマーケティング書とは一線を画す深みのある実践書となっている。  また、本書全章を通して筆者の底流には、『人間の研究こそがマーケティングの原点である』という考えがある。
人間の重要性は、IT全盛時代でも不変であるとし、『ITの活用は今後ますます重要になってこよう。しかし、人間を動かすシズルとなると別のようである。顧客が商品を採用(購入)し、使用するのは人間のもたらす「信頼」というシズルである』と言っている。
第3章の“変化の時代にふさわしい これからのマーケティング”は製薬メーカーにとってはとりわけ参考になると思う。特に、「日本流マーケティング点描」の中の「“郷”とマーケティング」「再び、日本流マーケティングへ」に記載されている文書を序文の終わりとして掲げ、製薬メーカーへの筆者の思いを代弁したい。
『将来予測をすれば、カネ中心の米国流マーケティングから日本流マーケティングへと見直しされるだろう。医療の場合、顧客は患者である。患者にやさしい、湿潤農耕文明型のマーケティングの方が、市場では珍重される時代の到来が予想される』と。

2011年1月
株式会社日本アルトマーク代表取締役 荻村剛一